ServiceNowのPlatform AnalyticsとPerformance Analyticsの違い|使い分けの判断基準

ServiceNowのPlatform AnalyticsとPerformance Analyticsの違いを現在値と時系列の判断軸で整理するアイキャッチ画像 ServiceNow運用設計

ServiceNowでレポートやダッシュボードを作ろうとすると、Platform AnalyticsPerformance Analytics という、名前がほとんど同じ2つの言葉に出会います。ドキュメントによって説明の前提が違うこともあり、「どちらを使えばいいのか」「同じものの新旧なのか」で最初に迷いやすいポイントです。

結論から言うと、この2つは対立する選択肢ではありません。Performance Analyticsは「KPIのスコアを定期収集して時系列で分析する仕組み」、Platform Analyticsは「レポート・ダッシュボード・Performance Analyticsをまとめた統合分析体験(入り口とUIの基盤)」です。層が違うもの同士なので、「PAの機能はPlatform Analyticsの中にKPIとして含まれる」という包含関係で覚えると迷わなくなります。

要点まとめ

  • Performance Analytics(PA)は、Indicator(指標)のスコアを毎日収集して「推移・傾向」を分析する仕組みです。
  • Platform Analyticsは、従来バラバラだったレポート・ダッシュボード・PAを1つのワークスペースに統合した新しい分析体験です。
  • 使い分けの判断軸は「いま何件あるか(現在値)を見たいのか、増えているか減っているか(時系列)を追いたいのか」です。

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Platform AnalyticsとPerformance Analyticsの違いは「統合体験」と「KPIを貯める仕組み」

まず全体像を早見表で整理します。名前は似ていますが、担当している役割の層が違います。

項目 Platform Analytics Performance Analytics
役割 レポート・ダッシュボード・KPI分析をまとめた統合分析体験(UIと入り口) KPIスコアを定期収集し、時系列で傾向を分析する仕組み(エンジン)
見る場所 Analytics Center(Platform Analyticsワークスペース) 統合後はPlatform Analytics内の「KPI」画面。従来はPAダッシュボードやAnalytics Hub
データの性質 現在値の可視化(Data visualization)と時系列のKPIの両方を扱う 収集済みスコアの蓄積(時系列データ)
主な構成要素 Data visualization、Dashboard、KPI、Breakdown、フィルタ Indicator、Indicator Source、Breakdown、Data Collection(収集ジョブ)
ライセンス 基盤とレポート機能は標準的に利用可能 KPI収集・分析は有償ライセンス領域が基本(契約により範囲が異なる)
実務での使いどころ 分析画面の作成・共有の標準的な入り口 「先月より改善したか」を追うKPI運用(SLA遵守率、未解決件数の推移など)

ポイントは、Platform Analyticsが登場したからといってPerformance Analyticsの仕組みが消えるわけではない、ということです。時系列でスコアを貯めるエンジンはそのまま残り、見せ方と入り口がPlatform Analyticsに統合されたと理解するのが正確です。

Performance Analyticsとは|スコアを毎日収集して傾向を見る仕組み

Performance Analytics(PA)は、「いまの状態」ではなく「変化」を分析するための仕組みです。中心になる構成要素は次の3つです。

  • Indicator(指標): 何を測るかの定義。例:「未解決インシデント件数」「初回解決率」
  • Breakdown(内訳): スコアをどの軸で分解するか。例: 担当グループ別、優先度別、カテゴリ別
  • Data Collection(収集ジョブ): Indicatorのスコアを定期的(通常は毎日)に計算して保存する仕組み

普通のレポートとの決定的な違いは、スコアがスナップショットとして蓄積されることです。レポートは実行した瞬間のテーブルを集計するため、「いま何件あるか」は分かっても「先週から増えたのか減ったのか」は分かりません。PAは毎日のスコアを保存しているので、レコードがその後クローズ・削除されても過去時点の値は変わらず、傾向線として分析できます。

たとえば「未解決インシデントが増え続けているグループはどこか」「改善施策のあとにバックログは減ったか」という問いは、現在値のレポートでは答えられません。これがPA(KPI)の担当領域です。

Platform Analyticsとは|レポート・ダッシュボード・PAをまとめた統合分析体験

Platform Analyticsは、従来は別々の場所・別々の作法だったReporting(レポート)、Dashboards(ダッシュボード)、Performance Analyticsを、1つのワークスペースにまとめた分析体験です。入り口はAnalytics Centerで、次の部品で構成されます。

  • Data visualization: 1つの可視化部品。従来の「レポート」に相当し、テーブルの現在値を集計して描画する
  • Dashboard: 複数の可視化やKPIを1画面に並べて共有する入れ物
  • KPI: Performance Analytics由来の時系列指標。KPIの詳細画面から推移・内訳・目標との比較を分析する
  • Breakdown: KPIや可視化を軸で分解する設定

近年のリリースでは、新しいインスタンスでPlatform Analyticsが標準の分析入り口になり、従来のCore UI側レポートやダッシュボードからの移行が段階的に進んでいます。移行の進み具合はリリースバージョンやインスタンスの設定によって異なるため、実際の状態は自分のインスタンスのAnalytics Centerと公式ドキュメントで確認してください。

CSA試験の観点でも、現在は「Platform Analyticsの構成要素として何がどの役割か」を問う形が中心になっています。試験目線での総整理はServiceNow CSAのPlatform Analytics対策記事にまとめています。

間違いやすいポイント

  • 「Platform AnalyticsはPerformance Analyticsの新名称」ではありません。Platform Analyticsはレポートやダッシュボードも含む統合体験で、PAはその中の時系列KPI部分です。名前の類似で同一視すると、ライセンスや機能範囲の判断を誤ります。
  • 「ダッシュボードに置けば時系列になる」わけではありません。Data visualization(現在値の集計)をダッシュボードに並べても、見えるのはいつでも「その瞬間の値」です。推移を追いたければKPI(Indicator+Data Collection)が必要です。
  • ライセンスの範囲を混同しない。分析体験そのものとレポート機能は標準的に使えますが、KPI(PA由来の収集・分析)は有償ライセンスの対象になるのが基本です。実案件では自社インスタンスで使える範囲を最初に確認してください。
  • 集計軸とBreakdownを混同しない。可視化のグループ化(担当者別に件数を集計する等)は現在値の集計軸、BreakdownはKPIスコアを内訳で分析するための仕組みです。似ていますが「現在値か、蓄積スコアか」で区別できます。

実務での確認順

要件が来たときは、次の順で判断すると迷いません。

  1. 問いを言語化する: 「いま何件あるか」を見たいのか、「増えているか・減っているか」を追いたいのか。
  2. 現在値ならData visualization: テーブルと条件を決めて可視化を作り、必要ならダッシュボードに配置して共有する。
  3. 推移ならKPI(PA): ライセンスの利用可否を確認したうえで、Indicator・Breakdown・Data Collectionを設計する。スコアは収集を始めてから貯まっていくため、必要になりそうなKPIは早めに収集を開始しておくのが実務のコツです。
  4. 既存資産を確認する: Analytics Centerに同じ目的のダッシュボードやKPIがすでにないか、旧環境(Core UI側)に移行待ちの資産が残っていないかを確認してから新規作成する。

CSAではどう問われるか

CSAでは、機能名の暗記よりも構成要素の役割の弁別が問われます。判断軸は2つだけです。

  • 部品か、入れ物か、軸か: Data visualization(1つの可視化)/Dashboard(並べる入れ物)/Breakdown(分解する軸)
  • 現在値か、時系列か: Data visualization(実行時点の集計)/KPI・Indicator(収集済みスコアの推移)

この2軸で選択肢を仕分けられれば、Platform Analytics領域の問題はほぼ対応できます。VTB・Platform Analytics・Virtual Agent・Workflow Studioの使い分け記事とあわせて、領域全体を判断軸で整理しておくのがおすすめです。

確認問題

問題1

先月から今日までの「未解決インシデント件数」の変化を毎日自動で記録し、傾向をダッシュボードで追えるようにしたい。最も適した仕組みはどれですか。

  1. IndicatorとData Collectionでスコアを定期収集する
  2. Data visualizationでincidentテーブルの現在値を集計する
  3. Dashboardを新規作成して可視化を並べる
  4. Breakdownで担当グループ別の内訳を定義する

答え: A. IndicatorとData Collectionでスコアを定期収集する

「毎日記録して傾向を追う」は時系列の要件なので、スコアを蓄積するPerformance Analyticsの仕組みが必要です。Data visualizationは実行時点の現在値、Dashboardは入れ物、Breakdownは内訳の軸で、いずれも単体では時系列データを蓄積しません。

問題2

Platform Analyticsで、複数の可視化やKPIを1つの画面に並べて、チームに共有するための入れ物はどれですか。

  1. Dashboard
  2. Data visualization
  3. Indicator
  4. Breakdown

答え: A. Dashboard

Dashboardは可視化やKPIを配置して共有する入れ物です。Data visualizationは1つの可視化部品、Indicatorは収集対象のKPI定義、Breakdownはスコアを分解する軸で、どれも「並べる場所」の役割は持ちません。

FAQ

Q. Performance AnalyticsはPlatform Analyticsに置き換わって無くなるのですか。

A. 無くなるというより統合されます。時系列KPIを収集する仕組み(IndicatorとData Collection)はPlatform Analyticsの中で「KPI」として引き継がれ、分析画面と入り口が統合ワークスペースに変わります。

Q. レポート(Data visualization)とKPIはどちらを使うべきですか。

A. 「いま何件あるか」を見るならData visualization、「増減の傾向を追う」ならKPIです。現在値は実行時点のテーブル集計、KPIは収集済みスコアの時系列という性質の違いで判断します。

Q. CSA試験ではPlatform AnalyticsとPerformance Analyticsのどちらが出ますか。

A. 現行のCSAはPlatform Analyticsの体験を前提に、Data visualization・Dashboard・Breakdown・Indicatorといった構成要素の役割の違いを問う形が中心です。名前の新旧よりも「部品か入れ物か」「現在値か時系列か」の判断軸で整理しておくと対応できます。

まとめ

  • Performance Analyticsは「KPIスコアを毎日収集して傾向を分析する仕組み」、Platform Analyticsは「レポート・ダッシュボード・PAをまとめた統合分析体験」です。
  • 使い分けは「現在値を見るならData visualization、推移を追うならKPI(PA)」の1軸で判断できます。
  • CSA対策では「部品・入れ物・軸」「現在値・時系列」の2軸で構成要素を弁別できるようにしておきましょう。

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参考リンク

ライセンスや移行の最新状況は、必ず公式情報で確認してください。

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